小林慎太郎のブログ

ラブレター代筆、プレゼンテーション指導、スピーチライティングなどをサービスとして提供するデンシンワークス(dsworks.jp)代表、小林慎太郎のブログ

「代筆屋」はいらない

「基本は自分で書くので、添削をお願いできますか?」
たまに、このような依頼が来る。

 

困る。断りはしないけれども、困る。
なぜなら、大抵の場合、直す必要がない。

 

リズムや読みやすさ、表現といった話でいえば直す余地はあるのだけれど、
そのあたりを整えることによって、「想いを伝える」という肝心の部分が薄れてしまう。

 

それでも、最初の頃は「直すところはありません」と言うのも憚られたため、
”てにをは”をいじってみたり、表現を変えてみたり、ごにょごにょとこねくり回し、
「添削しました」としたり顔で提出していたが、いつからか、止めた。

 

今は、直す必要がない場合は、「直す必要がありませんので・・・」と伝えるようにしている。「遠回しに断ってるんですか?」と言われたこともあるが、そうではない。本心。

 

ビートたけしの歌に「浅草キッド」という名曲がある。
最近では、映画『火花』の主題歌として、菅田将暉桐谷健太がカバーしたことで知られているが、それ以外にも、数多くの歌手がカバーをしている。福山雅治もそのひとりだ。

 

僕もそうだが、福山雅治ver.を聴いたことがある人なら、誰しもが、きっと、こう思ったはずだ。「カバーの必要なくない?・・・」と。

 

福山雅治は好きだし、かっこいいし、ナイスガイだし、吹石一恵奥さんだし、上手い
下手でいえば福山のほうが絶対的に上手いのだが、でも、ビートたけしの「浅草キッド」の方が、いい。

 

お前と会った仲見世
煮込みしかない鯨屋で
夢を語ったチューハイの 
泡にはじけた約束は
灯りの消えた浅草の
タツ1つのアパートで

 

浅草キッド」の出だし。福山雅治ver.においては、仲見世の風情は漂わず、煮込みのニオイは匂わず、芸人のサインで埋め尽くされた鯨屋の佇まいは見えず、はじける泡の音は聞こえない。

 

それは、ラブレターも同じ。当人の書いたものを超えることはできない。
だから、その意味で、代筆屋は別に必要ないと思う。
80通も書いて、ようやくそのことに気づくのだからイヤになる。

 

気を取り直して、福山雅治の「桜坂」を聴きながら、書きかけのラブレターの続きを書くこととしよう。