8月に入り、新卒採用がようやく落ち着いた。
今年に限らず、新卒採用をしていていつも思うのは、別にたいしたことじゃないのにな・・・、ということ。
たいたことじゃない、というのは、新卒採用でどこの会社に入るのか、ということに対して。
誰もが知っている有名企業に入ったところで、永続的な幸せが保証されているほど日々は単純ではない。
周りの友人に対しての優越感は多少はあるかもしれないが、それも、入社するまでの話。社会人経験をある程度経てしまえば、有名・無名はどうでもいいことに気づく。「〇〇商事に勤めてるんです」と言ったところで、へー、いい大学の出なんだね、と思うくらいのもので、スゲェ!とは別にならない。社名がその人の能力や人間性をあらわすものでないことくらい、大体の人が気付いている。
それに、ひと昔前ならいざ知らず、転職が当たり前の現代において、新卒で入社をした会社が納得できないのであれば、転職をすればいいだけの話。転職をした会社もいまいちなら、また、転職をすればいい。
そもそも、就職をしない、という選択肢だってある。起業をしたっていい。海外に旅に出てもいい。詩人になってもいいし、絵描きになってもいい。食べていけるかどうかは保証されたものではないが、選択は自由だ。大学を卒業したら会社勤めをしなくてはならない、という定めはない。
もちろん、学生さんに罪はない。周りの人たちが、大人が、社会が、そういう雰囲気を出してしまっているのだろう。就職解禁日がどうだとか、売り手市場だとか買い手市場だとか、内定率がどうだとか、人気企業がどうだとか、とにかく、うるさい。学生さんよりも、大人が盛り上がっている。
たいしたことではない・・・と思うのには、他にも理由があって、それは、「なるようになる」とよく言われるけれど、確かに、「なるようになる」ようになる(表現がおかしいか・・・)、と思うから。右往左往したところで、行き着くところは同じ気がする。僕は今38歳。過去を振り返れるほど道のりを歩んで来てはいないけれど、確かに、そうだと思う。
その時々では、「ああ、失敗した」「最悪だな」「選択を間違えた」と思うのだけれど、後々になって考えると、「あの時は失敗したと思ったけど、逆によかったな・・・」と思うことの連続だ。
そう思えるのがいつなのかは人それぞれだろう。ある人は20歳でそう思うかもしれないし、ある人は40歳でそう思う人もいるだろう。なかには、死ぬ間際になって、ようやく、ああ、これでよかったな、と思う人もいるだろう。
ただ、どこかのタイミングでそう思う時、思える時が来るのは確か、と断定はできないが、そんな感じがする。
だから、たとえ第一志望の会社に入れなかったからといって、「失敗だ」と決め込み、落ち込む必要はない。22歳の君からしたらそう思えるかもしれないが、30歳の君からしたら、その会社に入れなかったことは「成功」になる可能性がある。
善し悪しや勝ち負けを論ずるのを、急ぐ必要はない。急ぐ理由はない。
ゆっくりと、老後にでも、よかったのか、悪かったのかは考えてみたらどうだろう。
大丈夫。たいしたことではない。